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今から２０年以上も前になりますが、国際温泉学会に出席するために初めてドイツに行った時のことです。
当時の私の知識では温泉療法は熱い温泉での全身浴がすべてといった程度でしたが、その学会では泥浴についての研究発表がたくさんありびっくりしたのを覚えています。
その後、ほとんど毎年のようにドイツに行き、学会出席の前後に温泉地を訪れて、素晴らしい施設や制度を見学したり、ドイツの温泉療法を体験するようになりました。
大きなプールでの水中運動、水中マッサージ、飲泉などのうちで保養客に特に人気のあるのが全身泥浴や泥パック療法でした。
どの保養地に行っても、泥浴用のバスタブがある個室が２０室くらい両側にずらりと並んでいて、しかも何時もほとんど満員でした。
治療や保養に利用される泥状物質には、ファンゴ、モール、海底泥などがありますが、いずれも美容に、心身のリラクセーションにそして医療として関節や筋肉の腫れや痛みを和らげるのに利用されます。
得に火山灰や岩石を細かくして泥状にしたファンゴは、肌触りがまろやかで人気が高いようです。
私もドイツの保養地に行く度にファンゴの全身パックをしてもらうのが何よりの楽しみにしております。
さて、私とトゴールとの出会いですが、仕事柄、全国あちこちのクアハウスを訪れます。
いろいろな種類の浴槽が並んでいる中で多く人がゆったりと、いかにもくつろいだ感じで浸っている浴槽が目につきました。
その浴槽には「トゴール浴」と記されていて、実際に入ってみると湯はまろやかで、しっとりとしており、からだの芯から温まることがわかりました。
臭いも色もなく、明らかに淡水とは違った天然温泉に似た感じでした。
「トゴール湯」の資料を見せてもらうと、やはりシリカやカルシウム、カリウム、マグネシウムといった塩類が含まれた、いわばミネラルウォーターで、しかもちょうどドイツで経験したファンゴを薄めたものと同様であることが分かりました。
そして天然温泉のように、時間が経つと効果が薄れていく老化現象などの心配もなく、衛生上も安全であることが分かったのです。
今では、私にとってクアハウスに行きトゴール湯に入るのが最大の楽しみのひとつになっています。
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